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◇ドイツ時事ジャーナル◇
第46号
2009年12月08日(火曜日)
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【今日の記事】
Geburtenrate: Das Märchen von der leeren Wiege
Das Aussterben wird vorerst vertagt: Die Geburtenraten in den
Industriestaaten steigen wieder. "Die Angst vor extrem niedrigen
Geburtenraten, die seit den neunziger Jahren aufkam, ist
unbegründet", sagt Joshua Goldstein vom Max-Planck-Institut
für Demographie.
2009-12-08 17:19
Topthemen / sueddeutsche.de [rss]
【訳例】
出生率:カラっぽのゆりかごのメルヘン
絶滅はまず避けられた:先進工業国の出生率は再び上昇した。「90年代以来
話題になってきた極端に低い出生率に対する不安には根拠がない。」とマック
ス・プーランク研究所人口統計学のヨシュア・ゴルトシュタインは言った。
【補足解説】
”Die leere Wiege(カラっぽのゆりかご)”という死産や出
産直後の死亡で赤ちゃんを失った親の支援団体があります。
人口統計学という科学は、人間を驚かす学問だという人がいます。人口が増え
れば「人口爆発」と騒ぎ、逆に減れば「人類絶滅」とわめくんだそうです。
公開討論でも、なぜかその両方の不安を隠すことはありません。90年代の風
刺漫画があり、二人の同じ顔をした男性がプラカードを高く掲げています。一
人は「人口爆発でこの世の終わり」と主張し、もう一人は「出生率低下でこの
世の終わり」と言っているものです。
ゴルトシュタインさんは、今までに居なかったタイプの学者さんのようです。
90年代の極端に低い出生率による人類絶滅不安には根拠がないと言ったので
す。
極端に低い出生率とは、女性が平均1.3人より少ない子供を出産することを
いいます。
戦時中には出生率が極端に下がることがありました。そして、ここ数年は低下
傾向が広がっているように見えました。イタリア、スペイン、ギリシャなどが
極端に低い出生率の国になりました。香港、シンガポール、ロシア、ウクライ
ナ、チェコ、東部ドイツなどもそうでした。西部ドイツではいつも1.3を少
し上回っていました。
出生率が低下して日常から子供がいなくなり、テレビで大家族を見ることもな
くなるだろうなどと発言して不安を掻き立てる学者もいたのです。
その不安を懸念してローマ法王までが、2006年のクリスマスに、「欧州は
子供を望まないらしい。歴史から消えてなくなりたいと考えているようだ。」
と発言しています。
ゴルトシュタインさんは極端に低い出生率の時代は終わったと言います。20
03年には出生率1.3以下の国が21ありましたが、2008年には5カ国
に減っています。うち4カ国がアジアで、欧州の国はモルダビア一国だけでし
た。他の全ての国では上昇しています。上昇のカーブは急ではありませんが、
確実に上向いています。60年代のベビーブーム以来初めて世界中で出生率が
上昇したのだそうです。
例えばスペインでは、1996年に1.19だったのが2007年までに徐々
に上昇し1.39となりました。イタリアでの上昇は、スペインよりなだらか、
東部ドイツでは1994年の0.77からなんと2008年には1.40まで
急上昇しました。
でもゴルトシュタインさんは言います。出生率は全く持って酷い指標だと言う
のです。90年代の出生率低下は、計算の仕方が悪かった面もあるといってい
ます。最近の上昇傾向も人間の行動の変化による部分があるというのです。女
性の出産高齢化が進むと大きく下がるのです。
例えば、2005年に1000人の女性のうち19人が出産したとすると、人
口統計学的には出生率1.4となります。その一年後にそのうちのたった一人
が出産を延ばしただけで出生率は1.3になってしまうのです。彼女が二年後
に出産したとすると、突然1.5という出生率になります。女性一人あたりの
子供の数は変わらないのにです。
ここ十年の状況というのがちょうどそれにあたり、女性の出産高齢化が進んで
いたのです。最近その傾向が大きく変わりました。政策も影響があるといいま
す。出生率低下に悩む国が対策し始めたのです。日本ではうまくいっていない
ようですが、エストニアでは新しい両親補助金が若い夫婦の状況を変え、出生
率が上がりました。
スペインやオーストラリアでも政策の影響が明らかです。でもタイミングが重
要であるということに変わりはありません。家族補助によって赤ちゃんがたく
さん生まれるようになりました。でも、タイミングの作用もあるかもしれませ
ん。出産の年齢が下がったからなのでしょうか?
答えは何十年後かにならないと分からないのです。ゴルトシュタインさんは政
治的決断と経済事情が影響するだろうと見ています。出生率の低い国も平均
1.3どころでなく1.5から1.8になることを期待しています。
それが実現すれば人口統計学的な危機は避けられることになります。連邦統計
局の試算では出生率1.6でもそう劇的な変化はなさそうです。2030年の
ドイツの人口はいまとそう変わらないのです。老年人口が大幅に増えます。そ
して意外なことに大人よりも青少年の数の方が多くなるのです。だからドイツ
人はそう簡単には絶滅しないということですね。
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