2009年12月5日土曜日

病む先進国 -人間性の崩壊か-

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            ◇ドイツ時事ジャーナル◇ 

                 第43号

           2009年12月04日(金曜日)


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【今日の記事】
Diskriminierung in Deutschland
Deutsche Zustände - Wenn es eng wird


Eine Langzeitstudie des Soziologen Wilhelm Heitmeyer liefert
bedrückende Erkenntnisse: In der Wirtschaftskrise sinkt die
Solidarität, Feindbilder gewinnen an Stärke, Diskriminierung
nimmt zu. Warum sich die Menschen in Apathie und Resignation
flüchten - und der Politik nicht mehr trauen.


【訳例】
ドイツにおける差別
ドイツ事情 - だんだん窮屈になるか


社会学者ヴィルヘルム・ハイトマイヤーの長期調査で、悲惨な結果が明らかに
なった。:金融危機で連帯感が減少し、敵視傾向が強まり、差別が増大する。
なぜ人間は無感動と諦めへ逃げるのか - そして政治をもう信用しないのか。


【補足解説】
大抵の調査は不十分で、結果を性急に求めがちですが、ハイトマイヤーさんた
ちが実施したのは、フォルクスワーゲン財団はじめ、多くの財団やズーアカン
プ出版などが支援している10年に渡る世界的にも珍しい長期調査なんです。

弱者や社会的少数に対する敵視はどう互いに関連しあっているのかを2002
年から調べているんです。例えば、オカマを変だと考えている人は身体障害者
や長期失業者を敵視したり差別する傾向がある。

最近の年次報告を見ると、警告すべき発見がありました。金融危機の重圧で社
会的な結びつきが砕けてしまったというのです。根幹的な規則である人間の連
帯感、正当性、平等性が問われるようになってしまったのです。

現在の金融危機に自分が巻き込まれたと感じているアンケート回答者の約65
%が、ドイツには支援を受けなければならない弱者グループが多すぎると信じ
ています。

あなたはどうでしょうか?

しかも、最悪の状況はまだこれからだと言うのですからたまりません。

でも最初の兆候は見えています。不安がドイツ社会に入り込んでいます。将来
に対する不安、自分の社会的凋落への不安などです。今のところは自分自身の
立場をまだ割りに良いと考えていますが、一方では現状に閉塞感を感じていま
す。

回答者のほぼ半数が金融危機のあおりをまともに受けたと感じており、40%
は自分自身が被害を受けたと感じています。興味深いのは中間層の方が社会下
層より危機を脅威と感じているということです。どうやら下層はもう落ちてし
まっているので開き直っているのに対し、中間層はこれから社会的に凋落して
しまわないかを恐れているということのようです。

世界的金融危機は資本主義経済システムに対する信頼感を揺らし続け、少し前
まではとても考えられなかった事態になっています。
90%近くが銀行家や投機家が今回の危機の犯人だと信じていますが、70%
以上が経済システム自体にも責任があると見ているのです。

社会的不満の高まりを危惧する声もありますが、調査結果によれば、それは杞
憂に過ぎず、どちらかといえば逆の状況になるといいます。人は無感動や諦め
へ逃げ込み、「希望のない不満足感」が広まっているのだそうです。政治家に
とってはいい状況なのかもしれません。紛争や工場占拠のような他で起きてい
ることが起こる可能性がないからです。

しかし、それが長く続くと問題が起きます。政治家が問題を解決してくれると
信じるドイツ人がどんどん減ってしまいます。社会上層でも回答者の57%が、
「自分のような人間は、政府が決めることに何の影響力も持たない。」との問
いに同意しているのです。下層ではすでにほぼ75%がそう思っています。

参加意欲の欠如を「右翼ポピュリズム扇動者への同意可能性」と考えます。隣
国ではすでにその傾向が現れているのです。悪意の人間性が脆弱な社会の平和
を内側から蝕む可能性があるのです。ハイトマイヤーさんたちの年次報告は、
政治家を動かさなければならないのですが、どうやらその気配はなさそうです。
前の内相シリーさんは結構気にしていたんですが、CDUはあまり関心がない
ようなのです。困りましたね。


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