2010年1月11日月曜日

再生エネルギー推進 -COP15は失敗だったが...-

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            ◇ドイツ時事ジャーナル◇ 

                 第63号

           2010年01月10日(日曜日)


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【今日の記事】
Klimaschutz: Europa geht voran: Wende auf hoher See

Als hätte es Kopenhagen nie gegeben, treibt Europa den Klimaschutz
voran. Das gemeinsame Hightech-Stromnetz in der Nordsee zeigt:
Die Kleinstaaterei ist vorbei.

2010-01-10 16:55
Topthemen / sueddeutsche.de [rss]



【訳例】
環境保護:ヨーロッパは先行する:北の海では変化が!

コペンハーゲンの会議は何でもなかったかのように、ヨーロッパは環境保護を
推進する。北海における共同のハイテク電力網が意味するものは?:自国のこ
とだけ考える時代は終わった。


【補足説明】
コペンハーゲンのCOP15では、惨憺たる結果が議論を呼びました。今後の
環境への各国の対応が停滞しても仕方ないのが世論でした。

長年の環境保護議論があたかも全て消えてなくなったかのような様相だったか
らです。

まるでCOP15が無かったかのようなプロジェクトが明らかになりました。
ヨーロッパ9カ国が北海に共同でハイテク発電施設を計画しているのです。洋
上に1000キロ以上に渡ってヨーロッパの電源供給インフラを整えるという
のです。

目標とするところは再生エネルギー導入を推進すること。費用は300億ユー
ロ(約4兆円)、金曜日には英国も参入しました。何千もの風力発電タービン
が据え付けられ、1000億ユーロ(約13兆円)の一大エコ勢力が出現する
ことになります。

このSeatecと呼ばれるプロジェクトは、国を超えてのエネルギー・環境
政策という新しい時代を象徴するものではないでしょうか。

この大型プロジェクトは、環境保護の推進がもはや引き返せない大きな流れに
なっていることを表しています。

COP15の議論の行方と無関係に進められるヨーロッパのプロジェクトは、
必ず経済の活性化に役立つだろう。残り少なくなっていく化石資源であるオイ
ル、ガス、石炭の価格は徐々に高くなってゆくだろう。

二酸化炭素はいずれ主要なコスト要因となっていくことでしょう。

米国は、具体的な数値目標を拒否するかもしれません。でもオバマ大統領は自
国内ではグリーン・テクノロジーの推進を目指しています。中国も拒否権を発
動して、気候変動条約を認めないかもしれません。でも、石油価格がまた高騰
してきたら、中国といえども省エネを考えざるを得ないでしょう。

産油国でも再生エネルギー導入の動きが出ています。カタールでは今週、初め
ての太陽光発電施設に10億ユーロ(約1330億円)を投資するとの発表が
ありました。

SeatecやDesertecといったプロジェクトは将来、炭素と無縁の
自然が提供する太陽光や水、風などを利用して環境にダメージを与えない社会
を作っていくことでしょう。

民主主義の確立しない国や独裁者が牛耳る国からの輸入を不要とします。ウク
ライナとロシアがガス供給をめぐって対立しているのを見ても、いつ何時同じ
災難がヨーロッパを襲うかもしれません。

それを考えただけでも風力発電への投資がいかに有意義なものであるか理解で
きるでしょう。

政治的にも変化があるでしょう。エネルギー経済に関しては、それぞれの国が
自分のことだけを考えていたのでは成り立たなくなっています。これまで外国
に対して門戸を閉じてきた国も、共同作業をすることで、異なるリソースによ
る発電のコスト差をならすことができるのです。

競合が増え、価格が下がるという状況になることでしょう。

COP15の結末は国際社会の構造を変え、不況は時間もカネもかかる厄介者
になる可能性がある。でも、今回のヨーロッパのプロジェクトは、エネルギー
政策が決して失敗に終わったわけではないことを証明している。

世界中を見渡せば、知識も技術も資金もあるのです。地球温暖化を防ぐには政
治的勇気が無いだけです。過去の産業をベースにした考え方にしがみついてい
ては解決するものも解決しないということなのです。



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