2010年1月5日火曜日

テロとの戦い -議論のための議論?-

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            ◇ドイツ時事ジャーナル◇ 

                 第62号

           2010年01月05日(火曜日)


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【今日の記事】
Eine typisch deutsche Debatte

In Pakistan tötet ein Attentäter 100 Menschen. In Dänemark
attackiert ein Islamist einen Zeichner. Deutschland diskutiert
an der Terrorgefahr vorbei.

2010-01-05 20:59
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【訳例】
典型的なドイツ的議論

パキスタンでは、一人の犯人が100人を殺害する。デンマークでは、一人の
イスラム教徒が一人の漫画家に危害を加える。ドイツでは、テロの脅威の本質
的議論が蔑ろにされている。


【補足説明】
今なすべきことをせずに、議論ばかりしているドイツに喝を入れています。

パキスタンでは、自動車爆弾で吹っ飛んだ家の中で生存者を探し、世界はイス
ラムのテロリズムに対抗するために、保安部隊をどう強化するか悩んでいるで
はないかというのです。

これからの十年だって、イスラムのテロは爆弾を使い、人質をさらい、聖戦と
称する気違いじみた行為をやめるどころか、却ってエスカレートさせかねない
のです。ここ10日間の出来事を見るだけで、もうすぐ危険が去っていくなん
て甘っちょろい期待が無駄なことは分かるはずですよね。

デトロイトの直前で、勇気ある乗客が活躍したからこそ避けられた惨事、パキ
スタンのバレーボール試合中に人間爆弾で100人の死者を出した事件、ぎり
ぎりで阻止できたものの、モハメッドの漫画に対する報復で、一人のイスラム
教徒がデンマークの漫画家クルト・ヴェスターガールドを襲撃したこと、イエ
メンでアルカイダが米国、英国の大使館員を脅迫したことなど枚挙に暇があり
ません。それに、イエメンではドイツ人家族がイスラム教徒と思われる犯人に
拉致されたままなのです。

なのにドイツ政府は何をしているのでしょうか。

一生懸命に全身透視スキャナー導入の議論をしているのです。乗客のプライバ
シー侵害を法的、技術的にどう解決するかというのは理解できますが、テロの
脅威にどう対処するかというのはもっと大きな問題であるはずです。どうやら
年内にも導入が可能と言われている、機能十分で健康に害の無い技術が、武器
や爆発物を体に巻いて搭乗する容疑者を止めることができるのなら、それはそ
れで導入を急ぐべきだとは思います。

空中爆破よりは100回スキャンした方が良いですからね。

この全身透視スキャナーの議論こそ、木を見て森を見ない典型的なドイツ的議
論だと言わざるをえないのです。

でもイスラムのテロに対抗するには、ドイツ政府が全身スキャナー導入なんか
にとどまらずもっともっと本質的な議論が必要なのです。国内では、保安の専
門家たちがすでにモスク、イスラム組織、大学などでの過激化をもっと詳しく
監視すべきだと警告しています。過激化したムスリムを更正させるプログラム
が必要でしょう。例えば、説教者に協力してもらってイスラムとイスラム教の
違いを諭してもらうようなことです。

しかし、問題は国内だけにとどまりません。アルカイダやその協力者が実験を
握る国家とどう対峙するか、腹を決めなければなりません。テロリストを放置
したくないのであれば、現地の保安部隊を強化し、法治国家の体裁を整えるた
めにどう支援するのかを知恵を絞らなければなりません。アフガニスタンで実
践している警察訓練では十分とはいえません。世界中どこでも使えるテロ予防
プログラムへと転化しなければなりません。新しいアイデアとプレゼンスを強
化しないかぎり、次の十年も恐怖に怯えるだけの十年になるのは火を見るより
明らかです。



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